あらすじ
クラスになじめない高校生・藤枝蒼。彼は放課後通い詰めていた地元の図書館で、一人の少女と出会う。
「私の名前、教えてあげよっか」
「いいよ、別に」
日高咲良と名乗る彼女は、明るく屈託がなくよく笑う、蒼と対照的な少女だった。
通う高校も違えば、家も知らない。接点は、放課後の図書館だけ。
共通の話題すらないままに、なぜか咲良に惹かれていく蒼。
しかし、蒼と咲良、ふたりには人には言えない秘密があった――。
「やっぱり君、変な人だね」
その出会いはやがて、恋へと変わる。少しずつ、歩くような速さで。
きっと誰もが憧れる、最高にピュアな青春ボーイミーツガール。GA文庫から引用
感想
一人でいいと思っていた人間。
離れていったその時は大丈夫だったけど、新しく出来た関係にちゃんとした繋がりを感じたら、その関係を手放したくなくなる。
その出会いが恋へと変わっていったからこそ笑えない少年の表情に変化がありました。
と言った感じでしょうか。
ある日笑えなくなってしまった少年の前に、これまたある日行きつけの図書館で出会った少女。
運命も何もなく、ただただ気紛れな出会いで彼女が笑顔を取り戻そうしてくれていて。
この行動に本当に意味がなく、それこそ彼女自身の自己満足って感じ。
自分のやりたい事をする。そんな無遠慮な距離感は主人公の気持ちに変化をもたらしていました。
だからこそ居なくなってしまえばその存在が大きく、ぽっかり穴が空いたような感じになって。
誰かと繋がったから、彼女がいたから新しい自分になれたのに、彼女が居なくなったら意味がないと言わんばかりの主人公の行動力は目を見張りました。
会話よりも独白といった地の分が多く感じて、誰がどう思っているのかという思考が多いのは苦手でした。
が、これはラブコメではなくボーイミーツガール。
コメがないからこそ真剣な二人の心の内が明かされるこそに時間をかけている。
そんな少し不思議な物語って感じでした。
作品
タイトル | あおとさくら |
著者 | 伊尾微 |
イラスト | 椎名くろ |
発売日 | 2022年7月15日 |
ISBN | 978-4-8156-1628-1 |
ページ数 | 334 |
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